【イベントレポート】『伊礼彼方の部屋 vol.17 〜吉原光夫×飯田洋輔×伊礼彼方〜』――ついにまた出会った「対決」相手がふたり…追い続けたぞ!――
- 松村 蘭(らんねえ)
- 3月11日
- 読了時間: 6分

建て替えのため最後となる現・帝国劇場での『レ・ミゼラブル』東京公演を終え、全国ツアーを控える2025年2月26日(水)。生配信トークイベント『伊礼彼方の部屋 vol.17~吉原光夫×飯田洋輔×伊礼彼方~』――ついにまた出会った「対決」相手がふたり…追い続けたぞ!――が開催されました。日々の公演で対峙しているバルジャン役の吉原さん&飯田さんをお招きし、ジャベール役の伊礼さんがじっくりと貴重なお話の数々を引き出しました。
劇団四季出身という共通点
この日の伊礼さんは、いつも以上に気合いが入っていました。なぜなら、あの吉原さんがついに『伊礼彼方の部屋』に出演してくれたから! 吉原さんにまつわるエピソードはこれまでの回でも何度も登場しており、満を持しての初出演となりました。さらに、飯田さんは伊礼さんと『レ・ミゼラブル』で今回が初共演。稽古や本番での共演回数もまだ少ないため、改めてゆっくり話をしたいという伊礼さんの想いからお招きしたそうです。バチバチと「対決」ばりにトークの掛け合いをする伊礼さんと吉原さん、そんな二人に挟まれながら穏やかに笑う飯田さんの姿が印象的です。

吉原さんと飯田さんといえば、共に劇団四季出身という共通点があります。伊礼さんは二人がなぜ劇団四季へ入ったのかを聞き始めました。吉原さんは演劇の専門学校に在籍中、『ジーザス・クライスト・スーパースター』の映画を観て「人生で雷に打たれた数少ない経験」をして「これに出たい!」と思ったのだそう。その後、劇団四季での初舞台を『ジーザス・クライスト・スーパースター』で踏み、アンサンブルからシモン役、ユダ役を務めました。そんな吉原さんがユダを演じている時期に、同作品のアンサンブルで初舞台を踏んだのが飯田さんでした。二人はわずかながらも同時期に劇団に所属していたのです。
福井県出身の飯田さんは、中学生のときに音楽の授業で『キャッツ』ロンドン公演の映像で初めてミュージカルに触れます。その後、劇団四季の『キャッツ』を名古屋で観て「音大に入れば劇団四季に入れるかもしれない」と思い、ミュージカル俳優への道を辿り始めたのだそう。同時に、飛行機が大好きでパイロットになりたいという夢も持っていた飯田さん。航空雑誌を読み漁っていた日々を懐かしそうに思い返します。

劇団の先輩後輩でもある吉原さんと飯田さんは、今回の『レ・ミゼラブル』では同じジャン・バルジャン役。飯田さんにとって、長年バルジャンを務める吉原さんから得るものは大きかったそう。「光夫さんから、劇団でのお芝居の作り方も踏まえた上でアドバイスをしていただけたのがすごく嬉しかった」と目を細めて語ります。それに対して吉原さんも「最初に学んだ方法論や劇団という生まれが一緒だから、今彼が置かれている状況や気持ちがわかるんだよね」と応えます。同時に、19年(!)劇団四季に在団していた飯田さんを前に、在団7年の吉原さんは「俺は四季じゃない。三季くらい」と発言して爆笑をさらう場面も。

二人の師弟関係を聞いていた伊礼さんは「羨ましい! 光夫さん、僕には全くそういうのないから」と悔しがります。続けて、今期の『レ・ミゼラブル』から吉原さんの伊礼さんへの呼び方が「“伊礼”だったのが“彼方”に代わったんですよ。それがちょっと嬉しかった」と珍しくデレる伊礼さんなのでした。
それぞれのバルジャン像
中盤からは、『レ・ミゼラブル』にまつわるトークが中心に。伊礼さんから二人に対し「バルジャンはいろんな人と出会っていくけれど、その人たちはどういう存在? バルジャンが何を軸に生きているのか聞いてみたい」と質問が。吉原さんは「カルマだと思う。バルジャンは司教様に出会って新しい命をいただいた瞬間から、改心していこうと出会った人々に対して誠実に向き合おうとした人」と回答。さらにジャベール役の経験もある吉原さんは、ジャベールにも共通するところがあると言います。「ジャベールにとっての司教はバルジャン。けれどジャベールには底があって、変わらない自分を知ってしまった。だから彼はカルマを実行するか死ぬかしかなかった」と、バルジャンとジャベールの違いを分析。伊礼さんも、自身が演じているジャベールについて「確かにおっしゃるとおり」と頷きます。

その流れで吉原バルジャンと伊礼ジャベールの名物(?)「対決」シーンの話題に脱線しつつ、飯田さんは「改心した瞬間から神との繋がりをずっと持ち続け、人と出会って、自分の信念に基づいて生きていく人」と自身のバルジャン像を語りました。特に神との対峙の曲である「Bring Him Home」では「もっと神へのチャレンジであってほしい」という演出指示があり、芝居と歌のせめぎ合いはまだまだ試行錯誤中だと言います。
「独白」はハイバリトンの飯田さんにとって音域が少し高めなので、ボイストレーニングも重ねたそう。これを聞いた吉原さんが「私もまあ、ハイバリなんですかねえ・・・・・・」と渋い顔で淡々と語り始めると「あなた譜面読めないよね!?」とすかさず突っ込む伊礼さん。飯田さんは「光夫さんはテノールだと思います。でも、もはやそういうのないです(笑)」と、吉原さんの声帯は判別不能なレベルだそう。伊礼さんは「ちゃんとそのキーを歌うための筋肉を鍛えてあげないと歌えない」と言いますが、吉原さんは「そんなことを考えているから(音が)出ないんだ」と強めな持論を展開。「自分は譜面が読めないからそもそもどれくらい高い音なのかわからない。もし譜面上でどれだけ高い音かわかってしまったら、心理的に自分の限界が見えてしまって怖いと思う」と、譜面が読める怖さを語りました。

最後は、6月まで続く『レ・ミゼラブル』全国公演ツアーに向けての想いを語りました。飯田さんは「三歩進んで二歩下がるように、少しずつ経験を積み重ねていけたら。自分のベストの中でやっていきたいという想いがあるので、日々進化していくためにトレーニングをしながら過ごしていきたい」と意気込みます。続けて吉原さんも「残り数ヶ月、あっという間だと思います。今回、帝国劇場のクロージング公演で集まったカンパニーの想いはとても強いです。熱いカンパニーの地方公演をぜひ目撃してください」と力強く語ります。伊礼さんは「今回、僕自身もジャベール役で初めて星と対話できるようになった感覚を味わえています。舞台上でみなさんと対峙しているときも、目を見て語っている感覚があるんです。僕らはそのときにその人と対峙して生まれたものに素直に反応して、客席にお届けするだけです。一公演一公演が一期一会だと思います」と締めくくり、この日はお開きとなりました。
伊礼さんが聞き役に徹し、タイプの異なる二人のバルジャンの話をたっぷりと引き出した今回。長年『レ・ミゼラブル』に携わってきた俳優と、新たに参加して新しい風を吹かせる俳優とのコラボレーションという、歴史ある作品ならではの貴重な回になりました。次の『伊礼彼方の部屋』ではどんなお話が聞けるでしょうか? 乞うご期待!

取材・文・写真:松村 蘭(らんねえ)

執筆者:松村 蘭(らんねえ) 演劇ライター(取材・執筆・撮影・MC) 1989年埼玉生まれ/青山学院大学国際政治経済学部卒。仕事のお供はMacBookとCanon EOS 7D。いいお芝居とおいしいビールとワインがあるところに出没します。
オフィシャルサイト:https://potofu.me/ranneechan
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