• 松村 蘭(らんねえ)

【イベントレポート】『伊礼彼方の部屋vol.6~佐藤隆紀×木内健人×伊礼彼方~ 砦で出会った男たちの集い』

~『伊礼彼方の部屋』が配信で復活! 『レ・ミゼラブル』共演中の佐藤隆紀、木内健人をゲストに迎えて爆笑リラックストークを展開~



2021年6月26日(土)、大人気トークイベント『伊礼彼方の部屋』が配信で帰ってきました! 第6回となる今回は『伊礼彼方の部屋vol.6~佐藤隆紀×木内健人×伊礼彼方~ 砦で出会った男たちの集い』と題し、現在絶賛上演中の『レ・ミゼラブル』からジャン・バルジャン役の佐藤隆紀さんと、アンジョルラス役の木内健人さんをゲストに招いて開催されました。



砦で出会った男たち 互いの印象は?

オープニングから「本日のゲストは佐藤隆紀さんと、“きうち”健人くんです!」と紹介し、木内さんから即座に「“きのうち”です! あんなに練習したじゃないですか」と釘を刺されるお茶目な伊礼さん。事前に質問を募集したところ、なんと300近く寄せられたということで「これは徹夜になるのでは・・・・・・?」そんな予感をさせつつ、砦で出会った男たちによる弾丸トークが始まりました。


そもそもなぜこの3人が集まっているのかということで、出会いや互いの印象の話から始まります。伊礼さんと木内さんの出会いはミュージカル『グランドホテル』。伊礼さんは、バリバリ踊る木内さんに対してダンサーのイメージを強く持っていたそう。9歳のときにタップダンスを始めて、歌や芝居もできるミュージカルの世界へ入ったという木内さん。そのエピソードに対して佐藤さんが「器用だねえ。歌も芝居もダンスもばっちりみたいな」とコメントすると、木内さんは「何を言ってるんですか! 今、若い芽を摘もうとしましたよね?(笑)」と照れつつ迫ります。たじたじな佐藤さんでしたが、伊礼さんとの出会い(『レ・ミゼラブル』の共演)の話になると「僕、絶対(伊礼さんとは)仲良くなれないタイプだと思っていたんですよ」と暴露。佐藤さんは自身のイメージを“柔”、伊礼さんを“剛” で間逆なタイプだと言うと、「俺の方が心柔らかいわ!」と伊礼節が炸裂。これには大爆笑の佐藤さんと木内さんでした。


壮絶! 今だから言えるオーディションエピソード

オープニングから盛り上がり過ぎて、開始1時間弱が経過した時点でまだ1つの質問にしか答えられていないことが発覚。そこからは特に多く寄せられたという質問に答えていくことになりました。

『レ・ミゼラブル』のオーディションで印象に残っているアドバイスを問われた木内さんは、「絶対に甘く歌うなって言われました。健人は見た目が若く見えるから、そういう表現をしちゃダメだって。でも、役に対してどう思うかという演出の話もさせてもらって、めちゃくちゃ楽しかったです」と懐かしそうに振り返ります。一方、オーディションは地獄だったと語る佐藤さん。「『独白』の歌唱で感情を求められたので、感情をガーッと出して歌ったら高音サヨナラーみたいな(笑)。それでも『歌は歌えるようになるから大丈夫。感情を見たいんだ』って」。伊礼さんも同じく芝居を求められたそうで、酸欠、汗だく、フラッフラという壮絶なオーディションだったそうです。そんなオーディションを乗り越え、今舞台上で3人のバルジャン、ジャベール、アンジョルラスを観ることができているのですね。


このシーンのここが好き!

続いては、本番真っ只中の『レ・ミゼラブル』の好きなシーンの話へ。木内さんは2幕のバリケードでのファイナルバトルを挙げました。「自分たちが死ぬことで何かしら未来への爪痕を残そうと、全員が盛り上がってグワーッと向かってくる感じ」が堪らないそう。それを聞いて「アンジョは2幕主役だもんね。いいよねえ。あれやりたかった」と羨ましそうな伊礼さん。木内さんによると、稽古場で伊礼さんが「One Day More」のアンジョルラスパートを歌っていたことがあり、あまりもにいい声で歌う伊礼さんに「僕よりいい声で歌わないでください!」と思わず突っ込んだとか。このトーク中にも右腕を掲げてアンジョルラスパートを歌い出す伊礼さんに「しーっ!」と必死な木内さんの姿が微笑ましかったです。

佐藤さんが好きなのは、物語序盤にバルジャンが歌う「独白」のシーン。「(司教様から)愛をもらうことで人って変われるんだなって。こう、グッとくるんですよね。人のを観ていてもあそこで泣ける。だから、その変わっていく様を見せたいなとすごく思います」と、「独白」シーンへの思い入れを熱く語ってくれました。

伊礼さんが好きなシーンは、バルジャンとジャベールがバリケードで対決するシーンだそうで、「(ジャベールにとって)世界がひっくり返るきっかけになるシーン。バルジャンから『違う。わかってない君は。僕は君を殺したりしないしないよ』って。あの言葉は強烈ですね」としみじみ。その後も、自分が出ていないときのシーンで好きなところは? と、3人のレミゼトークは止まりません。


実はやってみたい役 男だったら、女だったら

「やってみたい役とかある? これ、すごい質問多かったよ」と伊礼さん。すると木内さんはずっとジャベールがやりたかったと話し出すのですが「でも、今ちょっとジャン・バルジャンに心が・・・・・・」と本音をポロリ。すかさず伊礼さんが「その年齢でジャン・バルジャンは早い! もうそれね、上辺しか見てない」と断言します。バルジャン役の佐藤さんは二人のやり取りを見て笑いが止まりません。木内さんに厳しい言葉を投げかけた伊礼さんですが、ご本人も作品に入ってからはジャン・バルジャンに興味があるようで「ジャン・バルジャンが変わる瞬間がふんだんに取り入れられている作品だから、これはやりがいがあるだろうな」と素直な想いを明かしました。一方で、今ご自身が演じている役については「ジャベールは孤独だぜ。何も人からもらえないから(笑)。ずーっと自分との葛藤」とし、木内さんが「そこがかっこいいんですけどね」と返します。伊礼さんと木内さんが演じたいと言うバルジャン役を今まさに務めている佐藤さんが「元々はジャベールでいつか(オーディションを)受けてみたいなと思っていたくらい」と発言すると、「じゃあ次の次、バルジャンとジャベール交代しようよ」と伊礼さんが持ちかけます。なぜ次ではなく、次の次なのかというと「だって俺、もう一回ジャベールやりたいから」と、伊礼さんのジャベール愛も垣間見えました。


ここでさらに、「性別を変えられるとしたら、女性の役で何をやりたいか」という質問へ移ります。真っ先に木内さんが挙げたのは、意外にもファンテーヌ。「ファンテーヌが自分の娘(コゼット)をなんとしても守ろうとする感じや、藁にもすがる思いで(バルジャンに)託す感じが、なんて愛おしいんだろうと思っちゃいます」とコメント。佐藤さんは「あの切なさを演じたい」と、まずエポニーヌの名前を出しますが、さらに「ちょっと変わり種でいくならば、テナルディエ夫人も。やる人によって結構違うじゃないですか。だから面白いなって思います」と2役の名を挙げます。ファンテーヌもエポニーヌもやりたいという伊礼さんでしたが、最近気付いたというコゼットの魅力について語り始めます。「マリウスとコゼットのシーンで、お互い異性を知らずに恋い焦がれる人がいて、どんどん想いが募っていく。そんな若者二人を見たときに、涙が出てきたのよ。これがこの作品の希望・光だったんだって気付いて。そしてそれは、コゼットの純粋な色で決まるんだなと思ったの。コゼットが純粋であればあるほど、この作品は最後泣けるんだろうなって。だからコゼットというのがすごい要なんだなあって」。と、ここまで熱くコゼットがいかに重要かを語っていた伊礼さんでしたが、最後に一言「当たり前なんだけどね。考えてみれば(公演プログラムの)表紙とか全部コゼットなんだよね(笑)」と付け加えます。木内さんも佐藤さんも、「確かに(笑)」と首を縦に振り納得のご様子でした。


予定していた1時間半を余裕で超え、約2時間の大ボリュームで展開された『伊礼彼方の部屋 vol.6』。他にも稽古場エピソード、発声へのこだわり、憧れのレミゼ役者、劇場でのルーティーン、これだけはやってほしくないことなどなど、レポートには書ききれないあんな話やこんな話が盛りだくさん。『レ・ミゼラブル』愛が詰まった濃密な時間となりました。エンディングでは、伊礼さんから『伊礼彼方の部屋 vol.7』開催決定の嬉しいお知らせも。次回はどんなゲストを迎え、どんな話が飛び出るのか、お楽しみに!



【開催概要】

『伊礼彼方の部屋 vol.7 ~樹里咲穂×三浦宏規×伊礼彼方~ あの街角で偶然に出会った人たちの集い』

日時 : 2021年7月23日(金・祝) 18:00〜(約2時間)

料金 : 2,500円(税込)

配信視聴(生配信+アーカイブ 視聴は7/30 金 24:00まで)

https://ireikanata007.peatix.com

*Vimeoを利用した生配信 + アーカイブ1週間付きとなります。

*参加特典として、生配信当日の出演者3人による撮り下ろし集合写真を後日プレゼント!


執筆者:松村 蘭(らんねえ)

演劇ライター。1989年生まれ。埼玉県出身。青山学院大学国際政治経済学部卒。出産を機にIT企業を退職し、ライターへ転向。仕事のお供はMacBook AirとCanon EOS 7D。いいお芝居とおいしいビールとワインがあるところに出没します。 Twitter:@ranneechan