• garnet 編集部

元宝塚の歌手・星乃にインタビュー「今、人生の第二キャリアがきているんです」


宝塚歌劇団星組の娘役として劇団に8年間在籍。その間、確かな歌唱力を持つ人だけに許されたエトワールを担い、多くの人に美しい歌声を印象付けてきた星乃さん。そんな彼女は、宝塚退団後にYou Tubeでカバー動画を発信し、あらゆる曲を歌いこなして注目を集めています。

2021年7月に出演予定の『俺のpresents MUSICAL SHOWBOX SUMMER』の会場となるGrand Maison ORENOにて、今まさに人生の第二キャリアを迎えているという星乃さんに、お話を伺いました。



諦められなかった、歌手になりたいという夢

●宝塚歌劇団に興味を持ったきっかけを教えてください。


実は、幼いときから歌手になりたいという夢がありました。でも「歌手になりたいから東京に行きたい」とはなかなか両親に言えなかったんです。子どもの頃からクラシックバレエとピアノを習っていて、その友人と一緒に宝塚の舞台を観たのが小学校5年生のとき。そこで「宝塚に入りたいということなら言えるかも!」と、思い切って両親に想いを伝えたんです。家族の応援もあって、宝塚歌劇団に入ることができました。



●その歌唱力は宝塚時代に磨き上げたものなのでしょうか?


実家の熊本で過ごしていたときは基本的に車生活だったので、車の中で毎日歌っていたんです。それで鍛えあげられた部分もあるかもしれません(笑)。本当に歌が好きで、学校の休み時間もずーっと歌っているような子どもでした。その積み重ねがあって、さらに宝塚に入って専門的なことを勉強したことで成長できたんじゃないかなと思います。



●星乃さんは若くして、2019年に宝塚を退団されました。


宝塚での8年間、たくさんの貴重な経験をさせてもらいました。でもあるとき「歌手になりたいという夢を諦めていいのかな?」とふと思ったんです。外の世界で違うこともしてみたいという想いが段々強くなっていきました。宝塚では、作品も曲も役割も与えられ、それを全うする日々。でも辞めてからは、全て自分から発信しないといけないということに改めて気付いたんです。退団直後はどうしたらいいのか正直わからず、自分自身を見つめ直す期間が半年程ありました。



●その期間のあと、2020年10月にYouTubeでの活動を始めていらっしゃいます。星乃さんのように、舞台や歌の世界で夢を掴もうとしている若者にアドバイスをするとしたら?


10代のときに目標を持っているかいないかで、結構差があるなと思います。熊本のど田舎で「宝塚に入りたい」という目標を持っていた私は、周りと比べて珍しかったと思うんです。大学にも行っていないので、学歴は高校止まり。ですがその分、周りの同級生よりも早く社会に出てお給料をいただきました。人生の第二キャリアが今、30歳手前で来ているので、やりたいことを早めにやるのはいいことだったんじゃないかなと思います。なので、目標があるならブレずにどんどん突き進んでいってほしいですね。なんとなく学校へ行ってなんとなく就職するのではなく、計画的に目標に向かっていけば大人になったときに後悔しないと思います。




カバー動画で話題沸騰! こだわりのYouTube撮影

●You Tubeのチャンネル登録者数はもうすぐ5万人になります。You Tubeでの活動を始めたきっかけはなんだったのでしょう?


宝塚時代からお世話になっている紅ゆずるさんのコンサート『紅ing』に出演してみて、「やっぱり人前に出るのは楽しいな」と感じたんです。それがきっかけで自分から発信していこうと思い、You Tubeでの活動を始めました。最初にYouTuberのしらスタさんに誘っていただき、瑛人さんの「香水」という曲をコラボレーションしたんです。歌ってみたらすごく楽しくて! その後、ピアニストのハラミちゃんともコラボレーションしました。宝塚にいたときとは全く違う、芸術家の方特有のパワフルさに圧倒されましたね。



●You Tubeチャンネルのコンセプトはどのように考えていったのでしょうか?


私のYou Tubeチャンネルは、“Music In The Spotlight”をキーコンセプトにしています。チャンネル開設当初はまさにコロナ禍の真っ只中。私を育ててくれた宝塚をはじめ、多くの劇場や舞台関係者は今後の見通しが立たない状況にありました。お客様が劇場に足を運ぶのが難しい中、たくさんの方に歌を届けるにはどうするべきか、私自身モヤモヤとした問いを抱えていたんです。周りの人たちと話し合いを重ねた結果、「いつものようにステージの幕が開き、演者がスポットライトを浴びながらパフォーマンスをする。そして何より、歌の喜びをお客様と共有する」。そんな劇場体験を私なりに表現してみることにしたんです。例えば、動画の始まりを幕開きのイメージで統一したり、動画のサムネイルの枠を宝塚へのオマージュを込めたデザインにしたり。このキーコンセプトは、今も変わることのない私の想いそのものです。



●星乃さんの横顔を捉える画角で固定されているのも印象的です。


そもそも動画は素人なので、画角を変えて撮影するとあとで編集が大変だなあと思って(笑)。自分がずっと続けられるようなやり方を考えた結果、一発撮りにしたんです。



●なるほど(笑)。確かに編集作業は楽になりますが、歌う方は一発撮りだと大変じゃないですか?


そういう意味ではすごく大変です(笑)。編集で他のカメラワークから繋ぎ合わせることができればいいんでしょうけど、一発撮りだとそれができないので確かに大変なときもあります。



●お衣装はご自身のアイディアですか? 曲のイメージに合っていて毎回とても素敵です。


ありがとうございます。基本的に私服を使って考えているのですが、最近私服が品切れで困っています(笑)。撮影をしたときに一度でも使った服は、絶対にもう使わないんですよ。宝塚の人の多くは、同じ服を繰り返し着ないんです。「あの人同じ服しか着ないんだな」とファンの方が思うかもしれないので。そんな宝塚時代の習慣が残っているのかもしれません。



●動画ではミュージカル、ディズニー、J-POP、演歌など、幅広いジャンルの曲をカバーされています。曲はどのように決めていますか?


動画を見てくださるのは宝塚好きな方が多いので、宝塚の曲を毎月1本はアップしようと思っています。最近はコラボレーションをきっかけに、私の宝塚時代を知らない方にも見ていただけることが増えてきました。なので、そういった方向けにJ-POPや流行りの曲も意識して選ぶようにしています。You Tubeでの選曲は、できるだけジャンル問わず幅広くやっていきたいんです。J-POPの人はJ-POP、演歌の人は演歌、ミュージカルの人はミュージカル、となってしまうのではなく、オールマイティーにいろんな曲を歌った方が喜んでいただけると思うので。たくさんの方に聴いていただくために、これからも続けていきたいです。




「私のことを知らない方にも印象付けられるような歌を」

●2021年7月9日〜11日に、Grand Maison ORENO(旧:俺のGrill東京)で開催される『俺のpresents MUSICAL SHOWBOX SUMMER』へのご出演が決まりました。


制作の方が私のYou Tubeの動画を見て、興味を持ってくださったようなんです。素直に嬉しかったですね。今は主な歌の活動の場がYou Tubeになっているので、人前で歌を歌えるいい機会だと思いました。会場ではお客様との距離も近いですし、久しぶりの生歌はちょっと緊張します。私のことを知らないお客様もいらっしゃると思うので、そういう方々にも印象付けられるような歌を歌いたいです。



●ライブの音楽監督兼MCとして、ミュージカル指揮者の塩田明弘さんがご出演されます。


塩田先生は、私が宝塚時代に初めてエトワールをしたときに指揮を振ってくださっていました。本番中に指揮をしながら「ここで僕がこうするから、ちゃんと入ってくれよ」とすごい眼力でリードしてくれました。そんな風にコンタクトを取ってくださる先生ってあまりいないんですよ。公演後にアドバイスをしてくださったこともありました。



本番中のMCでは、懐かしい宝塚時代のトークが飛び出すかもしれませんね。他の共演者で、これまでに関わりがあった方はいらっしゃいますか?


同じく元宝塚の七瀬りりこさん。七瀬さんの同期の方と仲が良かったので、ご挨拶させていただいたことがあります。あとはみなさん初めましての方ばかりなので、お会いするのが楽しみです。



●これから先、歌の世界でどんなことにチャレンジしていきたいですか?


まだ単独ライブをしたことがないので、このご時世が落ち着いたらぜひやりたいですね。今までは決められたものを淡々とこなしてきて、自分で0から何かを作るということがない人生でした。最近はYou Tubeでカバー動画を歌っていますが、いつかはオリジナル曲を歌うなど、私なりの表現をみなさんに提示できるような活動をしていきたいと思います。



●それでは、ライブを心待ちにしているお客様に向けてメッセージをお願いします。


今回初めてご一緒する方ばかりなので、きっとすごく刺激をもらうと思うんです。宝塚と劇団四季という2つの大きな劇団のコラボレーションという意味でも、おもしろい化学反応が起きると思います。そういったところもぜひお楽しみください。ステージと客席の間にパーテーションはありますが、お客様ご自身も一緒にライブに参加しようという気持ちでいらしていただけたら嬉しいです。




《Profile》


星乃(ほしの)


歌手。熊本県出身。

2011年に宝塚歌劇団入団。2011年星組公演『ノバ・ボサ・ノバ/めぐり会いは再び』で初舞台を踏んだ後、星組に配属。在籍中は3度エトワールを務める。2019年「霧深きエルベのほとり/ESTRELLAS」をもって宝塚歌劇団を退団。退団後は、歌手、歌手活動、ボイストレーニング講師として舞台俳優として活動中。2020年10月よりにYouTubeチャンネル(星乃 Hoshino Music)を開設しカバー動画を公開している。





公演概要


♦︎『俺のpresents「MUSICAL SHOWBOX」Summer』

主催 : 俺の株式会社

協力 : 株式会社アミューズ

企画・製作 : 俺の株式会社、株式会社アミューズ

会場 : Grand Maison ORENO(旧:俺のGrill東京)

東京都千代田区大手町1-7-2 東京サンケイビル地下2階

https://www.oreno.co.jp/restaurants/grandmaison

料金 : 全席指定18,000円(全席指定・税込み)


◎原価割れの飲み放題付き特製コース料理

◎俺のベーカリー特製「MUSICAL SHOWBOX」刻印入り食パンお土産付き


出演者 : (男女別/敬称略)

井上希美 笠松はる 谷口あかり 七瀬りりこ 星乃

野島直人 藤原大輔 吉田純也

伴奏・音楽アレンジ : 倉沢大樹

音楽監督・MC : 塩田明弘


公演期間 : 2021年7月9日(金)~11日(日) 全5回公演

<公演スケジュール>

[1st.show] 開場12:00/お食事開始12:30/開演14:00

[2nd.show] 開場17:30/お食事開始17:30/開演19:00

※7月9日は 2nd.show のみとなります。

※コース料理を楽しまれた後、出演者によるショータイムがスタートします。


公式Twitter:https://twitter.com/MusicalShowbox


執筆者:松村 蘭(らんねえ)

演劇ライター。1989年生まれ。埼玉県出身。青山学院大学国際政治経済学部卒。出産を機にIT企業を退職し、ライターへ転向。仕事のお供はMacBook AirとCanon EOS 7D。いいお芝居とおいしいビールとワインがあるところに出没します。 Twitter:@ranneechan