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  • 執筆者の写真garnet 編集部

【イベントレポート】『伊礼彼方の部屋 vol.11〜甲斐翔真×中河内雅貴×伊礼彼方〜』―ボヘミアンな若者たちと貴族の宴―



2023年8月8日(火)、帝国劇場で絶賛上演中の『ムーラン・ルージュ!ザ・ミュージカル』マチネ終演後に『伊礼彼方の部屋vol.11~甲斐翔真×中河内雅貴×伊礼彼方~』――ボヘミアンな若者たちと貴族の宴―― が開催されました。ゲストはクリスチャン役の甲斐翔真さんと、サンティアゴ役の中河内雅貴さん。ボヘミアンな2人を貴族のデューク(モンロス公爵)役の伊礼彼方さんが迎え、本番中ならではのフレッシュで濃密なトークを繰り広げました。


もし20代の3人が出会っていたら・・・・・・!?

 

「『伊礼彼方の部屋』にルールなんてないので!」と、伊礼さんはオープニングからテンション高めでゲストを歓迎。中河内さんはそんな伊礼さんとはお互い20代前半にミュージカル『テニスの王子様』で出会い、今回の『ムーラン・ルージュ』で3度目の共演となります。「丸くなったねえ。棘がなくなったねえ」と昔を懐かしむ先輩2人に「当時のお二人を見てみたい。熱くて触れなそう」と甲斐さん。すると中河内さんが、当時の伊礼さんが「“熱”と書いて伊礼彼方です」と自己紹介していたエピソードを明かします。甲斐さんは「一文字で伊礼彼方って、字余りがすごい(笑)」と一言。かわいい後輩のコメントに「最近ツッコミ上手になってきたよね!」となんだか嬉しそうな伊礼さんなのでした。


ミュージカル界若手のホープとして注目を集める甲斐さんは、伊礼さんとは今回が初共演。そんな甲斐さんの印象を「めっちゃ好青年だよね。イケメンで長身で、でも蓋を開けたら芝居心がめちゃめちゃある!なんなの?」と少々嫉妬混じりに絶賛する伊礼さん。続けて中河内さんも「男がすごく好きになってしまうタイプの役者」と、共に甲斐さんにべた惚れの様子です。以前は映像を中心に活動していた甲斐さんに、伊礼さんは「なぜミュージカルなのか」と迫ります。


元々歌が好きだった甲斐さんは、韓国で観たパワフルな『ジキル&ハイド』に衝撃を受けて「ミュージカルをやりたい」と思ったのだそう。話し始めるとミュージカル愛が止まらない甲斐さんに「配信が始まる前は『僕5分くらい喋ればいい』って言ってたのにめっちゃ喋るじゃん!」と伊礼さん。ここで改めて甲斐さんが「20代の伊礼さんと中河内さんに会いたかった〜」と漏らすと、中河内さんが「その頃に(甲斐)翔真に会っていても余裕で大好きだったと思う。毛色は違うけど根底の血は一緒だから」と熱く返します。もし3人が20代で出会っていたら、居酒屋で朝まで芝居について語り合っていたかもしれません。


ふと、本イベントのキービジュアルを手に取る伊礼さん。なんと偶然にも全員の宣材写真が右手を顔に添えているポージングだったのです!「超ウケるんだけど!」「こんな偶然あります!?」と爆笑する先輩2人に「顎が痛い人と、ほっぺが痛い人と、首が痛い人ですね」と指摘する甲斐さん(誰がどれかは写真を確認してみてくださいね)。はしゃぐ先輩たちと冷静な後輩という3人のやり取りが微笑ましいオープニングとなりました。そう、実はこれはまだまだ序盤。本題はこれからなのです!


あれもこれも気になる!『ムーラン・ルージュ』裏話

 

配信スタートから約30分が経過。なかなか本題に入らない伊礼さんに「質問に進まなくて大丈夫ですか?」と進行を促す甲斐さん。事前に寄せられたたくさんの質問への回答タイムへ移ります。1つ目は「本番前の舞台袖ではどんな精神状態ですか?」という質問。意外と緊張する伊礼さんと中河内さん、早めに劇場入りして緊張しないところまで自分を持っていく甲斐さんと、タイプが分かれました。袖で緊張する伊礼さんと中河内さんのモノマネを甲斐さんが披露し、2人が照れくさそうにする場面も。


続いては共演者に関する質問へ。まずはサンティアゴとペアダンスをする二二役のWキャスト加賀楓さんと藤森蓮華さんとの違いについて。中河内さんは「かえでぃー(加賀さん)はすっごい努力家。その分成長度もエグい。(藤森)蓮華は根底がダンサーで基礎があるから、ダンスの修正をするときにフィーリングでできちゃう」と、2人の二二の違いを語ります。続いてサティーン役のWキャスト平原綾香さんと望海風斗さんについて。甲斐さんは「どちらも感覚派なところは同じ。でもキャラクターは真逆」と分析。中でも「Elephant Love Medley」のシーンに違いがあるそうで、平原さんとは「音楽でやり合う感じ」、望海さんとは「その場のニュアンスでキャッチボールをする感じ」なのだとか。伊礼さんは舞台上であるハプニングが起きた際に2人のサティーンの対処方法が正反対だったことを実演しながら振り返り、Wキャストならではの醍醐味を語りました。


気になる劇中のキスシーンにまつわる質問も。デュークにはキスシーンがないのですが、伊礼さんは「ない代わりに手の甲とか首筋とか、唇以外のいろんなところにキスしてる。もしくはキスしそうなくらいの距離感で喋ってる」とニヤリ。さらに、実は台本のト書きでデュークがサティーンに「キスをする」と書かれている箇所があったものの、役作りの一環としてしない方向で落ち着いたことを明かします。それを聞いた中河内さんは「今の芝居だったらキスしても逆に怖いかも」と提案。すると伊礼さんは「お、じゃあやってみようかな」と乗り気に。今後、伊礼デュークの幻のキスシーンが誕生するかも?要チェック!


100年後のミュージカル界へ思いを馳せて

 

トークも後半に入り、改めて日々の公演を支えるカンパニーメンバーの存在のありがたさを語り合う3人。「このカンパニーで本当にすごいなと思うのが、ダンサーのみんな。彼らが主役みたいなもの。ショーを全部担ってくれている」と伊礼さん。アンサンブルキャストはとてつもない量の早替えや振付をこなしており、中には1公演で26回もリフトをしているダンサーさんも!クオリティを落とさず2ヶ月以上公演を続ける彼らは、もはやアスリート。そして公演を続けるために必要不可欠なのがスウィングの存在です。スウィングは、いざというときに1人で複数のキャストの代役ができるよう準備している縁の下の力持ち。『ムーラン・ルージュ』でもスウィングが大活躍しており、あるときは担当していなかった枠で急遽代役として出演したスウィングの方もいるとか。伊礼さんがそのときのスウィングの方に聞いたところ「自分の担当以外の枠で代役として出演することを想定して稽古してきた」というのです。これにはみなさん「スウィングの鏡だ!」と大感動。我々からは見えない並々ならぬ努力によって作品が支えられているということを、ひしひしと感じるエピソードでした。


いつもの如く、あっという間に予定の1時間半をオーバー。話が尽きない3人ですが、脱線しながらもエンディングへと向かいます。『ムーラン・ルージュ』大千秋楽まで残すところ1ヶ月を切った今、改めて「誰ひとり欠けることなく、怪我人も出ず、1公演でも多く最後まで無事にやりきること」を切に願う中河内さん。「素晴らしい作品に出ていることを誇りに思いつつ、この作品の魅力を多くの方に届けたい」と熱く語る甲斐さん。それを受けて伊礼さんは「僕らの世代が作ってきたものをさらに熟成させてレベルを上げてもらって、それを多くの若い人たちに観せて感化してもらいたい。その人たちが次の担い手になってくれたら、100年先のミュージカル界も安泰だろうなと思う」と、先を見据えて語ります。「日本ではまだまだクローズドな世界だけれど、これからもっとミュージカルが広まって芸術のひとつのジャンルとして受け取っていただけるようになったら嬉しい」と心からの願いを込め、この日の締めくくりとなりました。8月31日(木)の大千秋楽まで、ぜひこの日のトークを思い出しながら『ムーラン・ルージュ!ザ・ミュージカル』をお楽しみください!



 

執筆者:松村 蘭(らんねえ) 演劇ライター(取材・執筆・撮影・MC) 1989年埼玉生まれ/青山学院大学国際政治経済学部卒。仕事のお供はMacBookとCanon EOS 7D。いいお芝居とおいしいビールとワインがあるところに出没します。 オフィシャルサイト:https://potofu.me/ranneechan

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