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  • 執筆者の写真松村 蘭(らんねえ)

【イベントレポート】『伊礼彼方の部屋vol.12~山路和弘×紅ゆずる×伊礼彼方~』――アレがアレやからアレになった宴――



大好評生配信トークイベント『伊礼彼方の部屋vol.12~山路和弘×紅ゆずる×伊礼彼方~』――アレがアレやからアレになった宴――が、2023年12月13日(水)夜に開催されました。この日はこれまでの配信時間の最長記録を更新! 喋り出したら止まらないゲストとビールを飲み続ける自由なゲストに振り回されながら奮闘する伊礼さんの姿がありました。


初日から千穐楽までハプニング続きの日々


『NOISES OFF』の大千穐楽を終えてからの開催となった伊礼彼方の部屋は、いつにも増して打ち上げモード。劇中で演出家を演じた伊礼彼方さん、フレイヴィア・ブレント役の俳優を演じた紅ゆずるさん、泥棒役の俳優を演じた山路和弘さんの3人で、本イベント史上の様々な記録を塗り替えていく超レア回となりました。テーブルには山路さんのためのビール、劇中にも登場したイワシを彷彿とさせるオイルサーディンがたっぷり。打ち上げらしく「『NOISES OFF』お疲れ様でした〜!」と乾杯でスタートしました。

 

初日から千穐楽まで連日ハプニングが起きたシチュエーション・コメディ『NOISES OFF』。なんと初日から紅さんが伊礼さんのカツラを取ってしまう事件が勃発。「確かにハプニング続きな作品だったけど、初日にカツラを取るっていうのはなかなかないね」と伊礼さん。紅さんは稽古場で練習してきた通りにシーツを掴んで剥がしたところ、カツラが取れたストッキング頭の伊礼さんが現れたのだと主張。そんな紅さんを「初日に取ったのになんで千穐楽で取らなかったの?」と茶化す山路さんでした。




苦楽を共にしたプロフェッショナルかつ愉快な仲間たち


稽古場から舞台上まで関西弁が飛び交っていた本作。関西は第二の故郷だと思っている伊礼さんには幸せな現場だったと言います。稽古場では「井戸端会議ってこうやって生まれたんだ」と思う程に、女性キャスト陣の恋愛トークが弾んでいたのだとか。いろんな意味でハードな作品だったからこそ、カンパニーの仲も深まったようです。

 

苦楽を共にした共演者とのエピソードも次々飛び出しました。伊礼さんが唐突に「(紅)ゆずるの印象に対して葛山(信吾)さんが振り回された話をしましょう」とぶち込み、「ゆずるは葛山さんが醸し出す優しい空気を全部叩き割っていく。彼はもっとゆったり話してほしいんだよ!」と指摘。紅さんも「あのときの言い方とタイミングが良くなかったのかなあ」と、いつのまにか反省会に。しかし紅さんはそんな葛山さんから千穐楽の舞台袖でハグをされ、驚き過ぎて思わず直立してしまったという微笑ましいエピソードも明かしてくれました。



今回単独初主演だった藤井流星さんについては、3人共口を揃えて「真面目でいい子」と大絶賛! 『NOISES OFF』のフライヤーを見たWEST.のメンバーが「お前めっちゃいいメンバーに支えられてるな。最高じゃん」と言われたことを報告してくれたのが嬉しかったと伊礼さん。山路さんは「流星の真面目さとひたむきさは見ていて涙が出るくらいだった」、紅さんは「台詞を全部入れてきたとき、他の仕事もあるのにこの子寝てるのかなって心配になった」とそれぞれコメント。実は稽古場に来るのがいつもギリギリだった藤井さんに対し、伊礼さんは注意しようとしたことがあったのだとか。しかし、藤井さんは稽古直前まで近くの駐車場でマネージャーさんと台詞覚えをしていたことが発覚。その涙ぐましい努力に胸を打たれた伊礼さんなのでした。

 

他にも、あるシーンの1000本ノックで「私のために残ってくれてすみません。でもまだやりますよ!」と、ベテランでも飾らずに接してくれる羽野晶紀さん。紅さんとフィーリングが合い過ぎていつも手を繋いでいたという平祐奈さん。帰るのが異様に早いと噂の小南満佑子さん。投資信託という伊礼さんと共通の趣味があり、楽屋でピアノジャズを流しがちな福本伸一さん。そんな愉快なメンバーとのエピソードがたっぷり語られました。



素晴らしいのはキャストだけではありません。『NOISES OFF』の裏方スタッフもプロ中のプロ! 演出の森新太郎さんが困ったときには、まるで演出助手のように解決策を提案する舞台監督の澁谷壽久さんの姿があったそうです。ある日の本番中、1幕途中でセットのドアノブが壊れてドアが開かなくなるハプニングが起きた際、流石の伊礼さんも「芝居を中断するかしないか迷った」と言います。結果的には、裏方スタッフさんがアクシデントを猛スピードで察知&ドアノブを修理し、芝居を止めることなく奇跡的に進行できたのだそうです。「あんなにスピーディーな対応ができるのは、澁谷さん率いる舞台裏スタッフ陣ならでは」と、スタッフさんの素晴らしさを振り返る御三方でした。



指摘してくれることのありがたさ


この日度々登場したのが、カンパニー内で指摘することについての話題でした。まず、紅さんが芝居について伊礼さんに指摘してもらったエピソードを明かします。紅さんは芝居の間を埋めるために、無意識に思ったことを言葉にしてしまう癖があったそう。それに対して「この台本はよくできているから、感情を音にした瞬間に(お客様の)意識がゆずるに向いちゃう。すると本来見せなきゃいけないところが見えなくなっちゃうの。だから『やり過ぎてるよ』って指摘した」と伊礼さん。これを聞いた山路さんは「俺なんて伊礼に怒られたからね。一輪の花がしおれるシーンのときに(酔っ払いの泥棒役として)動き回っていたら『山路さん、一ついいですか。あれやられると邪魔なんです』って(笑)」と暴露。もちろんどの指摘も全ては作品のため。「意見を言うのは演出家でも役者でもスタッフでもいいと思う。みんなでクリエイトしていくことが演劇だと思っているんです」と、作品作りへの熱い想いを語る伊礼さんでした。

 

そんな伊礼さん自身も指摘してもらった思い出を振り返り、「千穐楽の直前にやっと指摘してもらえたの!」とニコニコ。福本さんと葛山さんから「芝居だから人の台詞を聞いて会話をするのはいいことなんだけれど、演出家の役だからもっと聞かずにポンポン進めていいと思うよ」と指摘され、久しぶりにダメ出しをもらえてとても幸せだったと言います。作品のためにお互い思ったことを素直に言い合って改善できる、風通しの良いカンパニーだったことが伝わってくるエピソードでした。



当然のように予定していた1時間半を過ぎた頃、伊礼さんと紅さんが「ちょっと俺トイレ行ってくる」「え〜じゃあ私も行くわ」と、ゲストの山路さんを残して前代未聞のトイレ離席! その間、取り残された山路さんは持ち前のダンディなお声でワンマンショーをしてくださいました。お二人が戻ってからもキャスト陣でカラオケに行った際の衝撃エピソードや、カップラーメン(カレー味かどん兵衛)ばかり食べている山路さんの実態、将来の上沼恵美子さん説が浮上する紅さんのトーク力についてなど話は止まらず、配信視聴者からチャットで「告知は?」と進行を促されてしまう程に収集がつかなくなっていきます。カオス状態の中「さあもう締めましょう! 過去最長じゃないですか? スタッフも疲れていますよ(笑)」と、どうにかこうにかトークを締めた伊礼さんなのでした。アルコール解禁×トイレ離席×最長記録更新と、伊礼彼方の部屋史上初の出来事てんこ盛りな2時間16分。今後この記録を打ち破る回はあるのでしょうか? 乞うご期待!



文 :松村 蘭(らんねえ)

写真:桑原慎太朗



 

執筆者:松村 蘭(らんねえ) 演劇ライター(取材・執筆・撮影・MC) 1989年埼玉生まれ/青山学院大学国際政治経済学部卒。仕事のお供はMacBookとCanon EOS 7D。いいお芝居とおいしいビールとワインがあるところに出没します。 オフィシャルサイト:https://potofu.me/ranneechan





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